人と人をつなぐ「たすき」となり
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にのだん社会保険労務士事務所だより「たすき」令和6年12月号(No.61)
【①魔法のことば「大丈夫!」】
「大丈夫って本当にすごい言葉なんです」「本当に厳しい時がありましたけど周りから大丈夫やと言われて勇気づけらました」これは最近まで行われたとある選挙の候補者が演説中に語っていた動画で、聴衆から「〇〇さん大丈夫や!」の声に「お母さんありがとうございます」と笑顔で語りかけるその表情はテレビの報道を初めて聞いた時の「こんな大悪人いるんか?」「仏頂面して本当に反省してるんか?」と思い込んだ印象とは全く違う様子を感じました。100対0のような独りぼっちになった状況の中で周りから「大丈夫!」という声掛けが広がったことは、本人にとって魔法の言葉であっただろうと強く感じました。
社会保険労務士の仕事を始めてから知り合った方の中にも「大丈夫!大丈夫!」と笑顔で口癖のように語る人がいます。私はひねくれている性格かもしれませんが、初めは「簡単に言うけど・・・」とネガティブに捉えていたかもしれません。しかし途中から仕事をしながら壁にぶち当たる時や自信がなく不安に陥る時など「大丈夫!」という言葉を心の中でささやき、開業から5年間の中で少しずつ新しいことにチャレンジすることが出来たのも「大丈夫」という言葉のおかげであり、自分自身にとって背中を押してくれる魔法の言葉であったことは間違いありません。
とはいえ大丈夫という魔法の言葉とは別に「今日は〇〇だから自分は失敗したんだ」や「〇〇だから仕方ない」といわゆる心の保険をかけてしまうことも時にはあります。本当は心の保険を無くしていくことが一番良いのかもしれませんが、前向きなことばかり考えようと思った時、心の中にストレスがたまるのを防ぐ効果も少なからずあるかもしれないと私は感じます。
従業員さんに「君なら大丈夫だよ!」という声掛けは新しい仕事へのチャレンジを促す効果が間違いなくあるかもしれませんが、時には「無理だと思ったら遠慮なく言っていいんだよ!」と心に余裕を与える声掛けも大事なのかもしれません。
【②母校で年金の話をさせて頂きました】
先月11月3日、私の母校である追手門学院大学で行われた大学祭のイベントで「知って損はない年金のお話」というタイトルで講演する機会を頂きました。終始、年金について一方的に語るだけで終わってしまい、聞いた人からすればつまらない話になったのではないかと後から反省するばかりでしたが、被保険者ごとの保険料や年金額の計算方法、払ってきた保険料に対して、何年受給したら得になるのか?年金を繰り上げて(繰り下げて)請求するほうが良いか?本来通り請求するほうが良いか?遺族年金の制度は、離婚分割とは・・・など年金をテーマに話をするなら何時間かけてでも伝えたいことを短時間で話す盛沢山の内容でした。
その中で国民年金第3号被保険者(会社勤めなど厚生年金に加入する第2号被保険者の配偶者)制度についても触れ、原則年間収入見込み130万円未満の配偶者が対象になるにも関わらず、勤め先の被保険者数規模によって週20時間勤務のような短時間労働者であっても強制的に厚生年金被保険者になる場合があることも取り上げました。(月給88,000円以上も条件のひとつのため、いわゆる106万円の壁と言われています)
最近、所得の壁が何かと取り上げられています。103万円の壁、106万円の壁、130万円の壁、さらに在職老齢年金の50万円の壁など言い出したらきりがありません。ルールを議論することは良いことですが、壁を変更したらまた新たな壁とともに公平・不公平が生まれることも理解しなければなりません。
テレビで年金に関する所得の壁のニュースもチェックしましたが、中身が曖昧で視聴者に誤解を招く印象を感じました。情報発信が一方的で所得の壁がある場合、ない場合の具体的な金額の比較や影響、壁を無くすほうが良い意見とそのままにしたほうが良い意見すら同時に伝えられないテレビには失望しかありません。
今はテレビに情報を頼らなくてもネット動画やSNSなどあらゆる視点での情報を入手することが可能で、より多くの情報を見たうえで感情的ではなく冷静な判断が出来るのではないかと感じます。年金については専門家である社会保険労務士にぜひともご相談ください。
~2024年もお読み頂きありがとうございました~